カイザーは、「開座」と間違われる方もいますが、ドイツ語の「Kaiserschnitt」からきており、帝王切開を指します。
骨盤位とは、逆子(さかご)、赤ちゃんが頭を上にして、お尻や足が子宮口の近くにあることを言います。 骨盤位は決して珍しいものではなく、最終的に頭を下にした頭位にならず骨盤位のままお産になるのは約4%と言われています。

当院でも、初産婦さんで骨盤位の場合は原則としてカイザーを行います。
また、帝王切開になる理由としていちばん多いのは、前回の妊娠時に帝王切開で分娩した経産婦さんが次の妊娠・出産時に子宮破裂を防ぐために行うケースです。

帝王切開率は世界的に増加傾向にあり、2010年の時点で、日本は約16%、アメリカは29%、韓国やブラジルは約40%と言われています。 (韓国は少子化と体にメスを入れることに抵抗が薄いため、ブラジルは性器としての膣を大事にするお国柄のため)





さて。ここで話はがらりと変わり、ドイツのカイザー(Kaiser:皇帝)ウィルヘルム2世を紹介します。
この皇帝ウィルヘルム2世は、骨盤位にも関わらず経膣分娩で産まれました。そのため、上腕神経叢麻痺を発症しました。
左半身の麻痺のため、様々な苦痛を強いられることとなったウィルヘルム2世は、無効な治療をした医師を始めとした英国人を憎むようになり、皇帝となってからはイギリス帝国そのものとも関係を悪化させていきます。
そして、1914年、ドイツはイギリスと敵対し、第一次世界大戦が勃発します。
その後、スペイン風邪、今で言うインフルエンザの大流行などもあり、ドイツは敗北するのですが。

もしもカイザーがカイザーを受け損なっていなければ、歴史は今と大きく違っていたかもしれませんね。