帝王切開は開腹手術になるので、手術の前後は普通の食事を取れません。 当院では、手術当日の昼・夜は絶飲食、翌朝はジュース、昼・夜はジュースとゼリーをお出しします。 2日目からは、その日の通常メニューをアレンジし、朝は2分粥と味噌汁にポテトサラダ、昼・夜は4分粥に味噌汁と魚の煮付けなどです。 3日目は、6分粥あるいは柔らかいパンを主食に、おかずはその日の通常メニューをアレンジしてお出ししています。 4日目からは、通常メニューです。

日本で開腹手術を行った場合は、当院と同じく術後食はお粥の病院がほとんどで、 重湯から始まり、段階的にお米が多く、水分が少なくなり、最終的に通常のご飯となります。

では、他の国は、どうでしょう?
いくつか、写真で紹介します。

まずは、

イギリスの術後食(ノーススタッフォードシャー病院、ストーク・オン・トレント)
これが典型的な術後第1食、日本での重湯の段階に当たる。左から、紅茶、ライスプティング、マッシュポテトにグレービーをかけたもの。ライスプティングは、米と牛乳で作るイギリスの伝統的なデザート。
オーストラリアの術後流動食(ロイヤル・ノースショア病院、シドニー)
写真上/術後食第1段階のクリアフルイド食。チキン・ブロス、ゼリー、ジュース。
写真下/術後食第2段階のフルフルイド食。ポタージュ、カスタード、フロマージュ・フレ、ゼリー、ミルク。
スウェーデンの大腸手術後食(エレブロ大学病院、エレブロ)
大腸手術後の術後1日目の朝から小盛りの常食が出される。小さな魚のフライ、ポテト、豆、チーズのソース、千切りニンジン、ジュース、コーヒーゼリー。
韓国の術後流動食(サムソン・メディカルセンター、ソウル)
術後の流動食はミューム(米飲)と呼ばれる。ミュームには粟が入っている(分割食のため、手前2つとも)。それに水キムチ(左奥)、豆乳が付いている。水キムチは韓国人の典型的な病人食で、どの病院でも必ず付く。トウガラシ伝来以前の辛くない、水分の多い、乳酸発酵した液体で、冷麺の汁のような味がする。
インドの術後流動食(デヴァーキー病院、チェンナイ)
左から、ココナツ水、野菜のクリアスープ、バーレイ水(大麦湯)。手前にあるのは、原料の大麦。

(写真と術後食の解説は、東京医科歯科大学医学部 外科臨床教授 丸山道生先生)

写真の上3枚は西洋文化圏、下2枚は東洋文化圏でした。それぞれぞれの違い、分かりましたか?

イギリスやアメリカ・中南米は狩猟牧畜系の民族ですから、流動食であっても、その基本は動物性になります。
段階によって変わりますが、まずはブロスと呼ばれる肉汁のスープ、そしてチーズやオートミールへと進んでいきます。 スウェーデンのように、そもそも流動食でない場合さえあるようですね。

一方、東洋は穀物湯文化です。
韓国では米や粟、中国では米に加えて小麦からできた麺やパン、台湾でも米や麺が基本になります。 それぞれ、硬さ柔らかさの調節が簡単ですから、重湯に始まり、ミキサーにかけたペースト状の粥、具の入った雑炊……、などのように段階が進んでいきます。

それにしても、国によってこんなにも違いがあるとは驚きですね。